KINTSUGI+URUSHI (JAPAN)
September 5, 2021
Trying Kintsugi
漆文化に精通し、輪島の地で八世代に渡って漆芸を生業としてきた桐本滉平さんにお会いし、金継ぎ、および漆について教えてもらいました。桐本さんとのコラボレーションは近日公開予定です。
What is Kintsugi?
陶磁器が割れたり、欠けたりしてしまった時、破損部分を漆で継ぎ合わせ、上から金などで装飾する伝統的な修復法「金継ぎ」。モノが壊れてしまって、寂しさと自分への怒りの感情が生まれた時、それをポジティブに変換できる漆という植物に惹かれました。
Bring it to life again
素材を甦らせる力があり、抗菌作用もある漆。漆を最大限引き出すために、さまざまな文化や工藝が生まれたのだと、改めてモノの作り手とお話しすることで知りました。
漆が人間の五感にどんな影響を与えるのか、考えてみたいと思います。
Touch…
みずから呼吸し、その感触が人間の肌に近いという漆。
触った時の生きている感覚。
Eyesight…
日本人の空想には「つねに漆黒の闇がある」といい、「『闇』を条件に入れなければ漆器の美しさは考えられないと云っていい」と、随筆『陰翳礼讃』に記したのは谷崎潤一郎。私たちには明るい照明ではなく、太陽や月の光、ろうそくの灯りで過ごしてきた文化がある。光の反射具合によって、同じ黒でもさまざま黒が生まれる。漆は光のありかを教えてくれる。
Taste…
料理の味を最大限に引き出す口当たり。
漆の器や箸など、接吻文化があったからこその、キスをしている感覚。
Smell…
漆器にご飯をよそうと、食欲をそそる香り。
漆だけでは成り立たない、主役にも、何かを引き立てる役割にもなれる存在。
木も布も闇も火もご飯も、生かされる気がする。
Hearing…
漆の音はまだ聴けていないけれど……。
漆の器が合わさる時の優しい音。洗ったり重ねたりする時の優しい音。
器をテーブルに置いた時に響くやわらかな音。
桐本滉平さんの工房で流れていた、冥丁/Meiteiによるアルバム『古風』より「金継ぎ」お聴きください。